年金をもらいながら保険料を支払う?意外と知らない社会保険制度のカラクリ
こんばんは!
税理士事務所で日々お客様と接している中で、よくいただくご質問のひとつがこちらです。
「社会保険って、結局いつまで払うんですか?」
「年金はいつから、いくらもらえるの?」
実はこの質問、非常に奥が深く、改めて調べてみると「不思議な期間」があることに気づきました。
社会保険料はいつまで払うのか?
多くの方が、「年金をもらい始めたら、もう保険料の支払いは終わるのでは?」と考えがちですが、実は原則として70歳まで支払う義務があります。
その根拠がこちらです。
■ 厚生年金保険法 第27条
「被保険者は、70歳に達したときに、被保険者の資格を喪失する。」
つまり、70歳になるまでは、厚生年金保険の被保険者であり続けることになり、保険料も支払い続けることになります。
年金はいつからもらえるのか?
年金の受給開始時期は原則として65歳からです。
■ 厚生年金保険法 第42条
「老齢厚生年金は、被保険者期間を有する者が65歳に達したときに、その者に対し支給する。」
不思議な「重なる期間」65歳〜70歳
ここで少し混乱するのがこのポイント。
- 保険料の支払い:70歳まで
- 年金の受給:65歳から
つまり、65歳から70歳までは、「年金をもらいながら社会保険料も支払う」という重なる5年間が存在するのです。
これは仕組みとしては合理的に設計されているものの、シンプルに考えるとちょっと不思議ですよね。
年金は早くも遅くも受け取れる?「繰上げ・繰下げ受給」
年金の受給開始時期は、60歳から70歳の間で選べるようになっています。これが「繰上げ受給」「繰下げ受給」です。
■ 繰上げ受給の根拠条文
【厚生年金保険法 第43条の2】
「被保険者期間を有する者が60歳以上65歳未満である場合において、その者が老齢厚生年金の支給を請求したときは、65歳に達するまでの間、その者に対し老齢厚生年金を支給する。この場合において、当該老齢厚生年金の額は、第44条第1項の規定にかかわらず、政令で定めるところにより、減額された額とする。」
つまり、60歳から早くもらうことも可能ですが、その分年金額は減額されます。
■ 繰下げ受給の根拠条文
【厚生年金保険法 第44条の3】
「被保険者期間を有する者が66歳に達した日後において老齢厚生年金の支給繰下げの申出をしたときは、その申出をした日の属する月の翌月からその者が70歳に達する日の属する月までの間、その者の申出に応じ、老齢厚生年金に代えて、その額を増額した老齢厚生年金を支給する。」
逆に、66歳以降に申請して受給を遅らせると、年金額は増額されます。
最後に:制度を知って、賢く選ぶ
このように、社会保険制度には「知っておくと役立つポイント」がたくさんあります。
- 支払いは70歳まで続く
- 年金は65歳からもらえる
- 繰上げ・繰下げで受給時期を選べる
この「65〜70歳の5年間」について、あなたもぜひ一度考えてみてはいかがでしょうか?
次回は健康保険についても掘り下げてご紹介したいと思います。
それでは、また次回のブログでお会いしましょう!
免責事項
本記事は、筆者が勉強・調査した内容をもとに、一般的な情報提供を目的として作成したものです。
内容には正確を期しておりますが、最終的な判断や対応にあたっては、必ず最新の法令や公的機関の情報をご確認の上、必要に応じて専門家(社会保険労務士、税理士等)にご相談ください。
本記事は法的助言を提供するものではなく、筆者の個人的な学習・見解の共有にすぎません。
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