〜 解散前に検討しておきたい、事業承継・M&A・転換・休眠のポイント 〜
📌免責事項:
本記事は、筆者が税務を学ぶ中で調べた内容を整理・共有することを目的としており、特定の税務判断を推奨するものではありません。実際の判断にあたっては、税理士等の専門家へのご相談をお願いいたします。
✅ はじめに
お客様から「会社をたたむかもしれない」というご相談をいただき、今回改めてどんな選択肢があるのかを調べてみることにしました。
正直、最初は「たたむか、たたまないか」くらいの発想しかなかったのですが、調べてみると次のような選択肢があることが分かりました。
📋 会社をたたむ前に考えるべき選択肢
- 子供などに 事業を承継する
- 会社を 他社へ売却(M&A)する
- 違う事業に転換して続ける
- 将来のために 会社を休眠させる
- そして、最終的に 解散・清算を行う
👪 選択肢①:事業承継(親子間)
事業承継とは、会社の経営権や株式などを 後継者に引き継ぐことです。今回は「親子間の承継」に絞って考えてみます。
◾ 株式の贈与・相続
- 贈与のケース:贈与税がかかりますが、「事業承継税制」を利用すれば、一定の要件を満たすことで納税の猶予・免除が可能です
👉 租税特別措置法第70条の7の2 - 相続のケース:相続税がかかりますが、同様に納税の猶予制度があります
👉 租税特別措置法第70条の7
📎 参考リンク:
国税庁:事業承継税制(タックスアンサー No.6105)
🔄 選択肢②:事業内容の変更
今の事業を完全にやめてしまう前に、新しい事業を少しずつ始めてみるという選択肢もあります。
◾ ポイント
- 新規事業には初期費用や運転資金が必要です
- 旧事業の収益で支えられるかがカギ
- 繰越欠損金がある場合は、新事業で出た利益と相殺できる可能性もあります
👉 法人税法第57条
💼 選択肢③:M&A(会社売却)
会社を他の法人や個人に 売却する方法です。いわゆるM&Aです。
◾ チェックすべきポイント
- 今の事業に買い手がつくか?
- 収益状況や資産・負債のバランス
- ブランド力や実績などの無形資産
◾ 税務上の注意
- 株式譲渡の場合:譲渡益に対して所得税(分離課税)
👉 所得税法第22条 - 事業譲渡の場合:原則、消費税の課税対象
👉 消費税法第2条第1項第1号
👉 消費税基本通達5-1-1
⏸ 選択肢④:休眠
今すぐ使う予定はないけど、将来的に使う可能性がある場合は、休眠(休業届出)という選択肢もあります。
◾ メリット
- 設立コスト不要で再開が可能
- 所得がなければ法人税・事業税は発生しない
◾ デメリット
❌ 選択肢⑤:解散・清算
将来的に会社を使う予定が全くない場合は、会社を解散・清算することになります。
◾ 必要な手続き
- 登記費用(解散・清算結了)
- 官報公告費用
👉 会社法第492条 - 税務申告(解散事業年度と清算結了時)
◾ 借入金がある場合
- 原則として一括返済の可能性
- 連帯保証人に返済義務が及ぶ可能性
- 債務免除益が課税対象になる場合あり
👉 タックスアンサー No.5350
📝 おわりに
会社をたたむ前に、「本当にその選択しかないのか?」を一度立ち止まって考えてみることが大切です。
- 子供が後継者になる可能性がある
- 新しいビジネスに転換するチャンスがある
- 一時的に休ませておくという選択肢もある
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